ルソン島はビコール地方に属し、地図上はマニラから陸路でも行けるような錯覚を持つ

秘境カラモアンを持つ州です。

3~4年前のフィリピンの新聞に、有名リゾート地であるボラカイ、セブを抜いて、

フィリピン人の国内旅行者が一番に出掛ける目的地であるという記事が出ました。

この頃から気になっていたところですが、流石に秘境と言う事であまり情報もなかったことと、

時間もかかるだろうということもあり今まで出掛けることを躊躇しておりました。

今回ちょっとしたチャンスがあり、雨期で台風の心配はありましたが思い切って行ってきましたので

ご紹介をさせていただきます。

 

都は、ナガだと思っていましたが、現在はピリと言う街に移っているとのことでした。

マニラからのフライトも、ナガ空港行きとなっていますが、実際に空港があるのはピリで、

現地の方はピリ空港と呼んでいました。

しかしながら一般の旅行者が迷うことのないよう、現在でも航空会社は、ナガ空港で統一しているようです

。(空港の看板はナガ空港の名称でした)

 

現在、マニラからのフライトは、フィリピン航空の子会社のパルエクスプレスと、

セブパシフィックから午前便と午後便にフライトがあります。

今回、料金とスケジュールの関係で、往路をセブパシ、復路をパルエクスプレスと使い分けをしましたが、

どちらもマニラはターミナル3からの発着となっています。

写真は、往路のセブパシ。ビコール地方は台風の影響が多い地区です。

この日もあいにくの雨模様でしたが、台風ではなかったので飛ぶ事ができてラッキーでした。

カラモアンへ向かうには、ナガ(ピリ)からボートの出ているサバン港まで、まず車での移動になります。

約1時間半の距離です。

着いたサバン港は、「えっ、ここが港」という感じの普通の浜辺でした。

地元の方も利用する定期便ですが、あいにくボートが出たばかりであったため

次便が来るのに港で2時間待つ事になりました。

空港から港への国道が所々工事中で片側交互通行であったため予定の便に乗る事ができませんでした。

秘境に行くにはこれも試練だと、港の近くを散歩して待つ事にしました。

港の待合所は、こんな感じです。

奥に見えるフィリピン食堂で飲食可能、トイレも借りることができます。

 

待ち時間の間、近くのフィリピン人から情報収集をしましたところ、

カラモアンへ行くには、ここサバン港の他に、ナト港というところからも便が出ているそうです。

ここサバンからはフィリピン特有のアウトリガーの付いたバンカボートの

ちょっと大きめの船が出ていますが、ナトからはバスも乗るカ―フェリー便が出ているとのことでした。

カラモアンへ渡るのに時間はどちらも2時間程度、ボート代はサバンからの方が若干安いということと、

便はサバンからの方が多いということを教えてもらいました。

 

地図上は、カラモアンは半島であるので、車で行く事はできないのか聞いてみたところ、

舗装のされてない山道で行くと8時間くらいかかるそうで、

カラモアンへ用事のある人は皆ボートを利用していると話してくれました。

この時点で私もカラモアンが、本当に陸の孤島であると言う事を知りました。

ようやくカラモアンからの便が到着し、ボートへ搭乗です。

サバンは遠浅なので、ボートが浜まで着きません。

下にドラム缶を付けた筏のような橋を渡ってボートに乗るようになります。

 

定員がいっぱいになったせいかもしれませんが、予定出港時間より早く出発したのは、

私のフィリピン生活で初めてのことでした。

もし予定時間ぎりぎりに来ていたら乗れないということになりますよね。

天候を見ながら判断するということもあるとは思いますが、

フィリピンの便は遅れがちということが通じないこともあるのだなと良い経験をしました。

 

サバンからボートで2時間、ギハロ港に着きました。

ナトからのカーフェリーも着くのでしっかりとした港になっていました。

カラモアンへの環境税は、料金に含まれていませんでしたので、1名辺り30ペソここで支払います。

カラモアン(ギハロ港)発の時間表。10時半の便が、ナトへのカーフェリーのようです。

車で渡る場合は、1日1本のみということになりますね。また午後便が無い事がわかります。

 

今回予約していた宿は、ゴタビレッジリゾート。

ギハロ港からカラモアン半島の反対側に位置しますので、ホテルの送迎車で更に30分の移動です。

リゾートに着いたのは、午後4時を回っていました。サバン港での待ち時間は仕方なかったにせよ、

朝9時台のマニラ発のフライトに乗る為、自宅を午前7時に出ましたので

本当に遠いところだなあと言うのが、そのときの印象です。

 

このリゾートは、世界各国で制作されている「サバイバー」という番組で

毎年ロケ隊が泊っているリゾートなのだそうです。

 

今年4月号で紹介しましたコロン島近くの島では、フィリピン版のロケ地となっていましたが、

ここカラモアンはインターナショナルです。

2008年のオープンの年に、いきなりフランスのロケ隊が来たのを皮切りに、

その後イスラエル、セルビア・マケドニア・スロベニアの合同隊、

インド、アメリカのロケ隊が撮影に来ていて、彼らの撮影時期は最低3カ月貸し切りとなるため、

予約が入りづらいリゾートです。

昨年のアメリカ隊のロケの際には、2シーズン分撮っていったようで、

6ヶ月も貸し切りであったのだそうです。

今年の末からも、ロケ隊のオファーが入っているので、

11月末日までの予約しか確実に受けられないとホテルスタッフから聞きました。

 

カラモアン、他にも宿はあるのですが、ゴタへ泊ろうと思うと今回のようにロケの入っていない雨季でないと

予約が入らないということもあるのです。

初日の天気はあまりよくありませんでしたが、2日目は晴れましたのでアイランドホッピングをしてきました。

 

2日目朝に撮った写真です。

ご覧のように一つ一つが小屋になっている宿泊施設が131あります。

私は、一番小さいスモールカバナに泊りました。

カップル用に2名まで泊れます。

部屋の中は狭目でしたが1人で泊った私には十分でした。

カバナの外側は、ちょっと色あせていましたが、室内は綺麗な木目が残っていました。

写真に写ってませんが、エアコンも完備です。

シャワールームは、個室タイプになっています。

2日目、海辺に近いレストランで朝食を取ったあと、

アイランドホッピングは午前8時から出掛けてきました。ボート乗り場へは、徒歩で2~3分。

2日目は天気になって、よかったです。

ボート乗り場へ到着です。船頭さんが一人と、ライフジャケットを持っている助手のお兄さんが一人、

2名体制で付いてくれました。

ボートから撮ってみました。

離れ島ではなく、一応ルソン島のはじっこになります。

絶壁となっているので道を簡単に造れないのが、わかりました。

最初に連れて行ってくれたのは、TAYAKと言うビーチです。

島ではなくルソン島の一部だそうです。ゴタビレッジから25分くらい。

 

 

ビーチ近くにある山道を5分くらい歩くと、ラグーンがありました。

 

確かに秘境です。

2か所目は、正真正銘の離れ島LAHUS島へ、連れて行ってくれました。

サバイバーのロケでも使われた島なのだそうです。

島のくびれた所は、10mくらいの幅しかありません。左右どちらからも波が打ち寄せます。

良い天気になると、とても暑いので、日陰で休みました。

3か所目は、MATUKAD島へ上陸です。

この島には管理人のおじさんが住んでいました。

とれたてのココナッツ(ブーコ)を切ってもらって、ブーコジュースを飲みました。1杯25ペソ

ジュースを飲み終わると、2つに割ってくれて、白くて薄い被膜の部分を食べます。

おじさんが、フィリピンナイフを器用に使って、ヤシの皮の部分でスプーンを作ってくれました。

パイナップルのように見えますが、パンダンというものだそうです。

フィリピンにはブコパンダンというお菓子があります、

「ああ、あれの元ですか?」と聞いたところ、別物だそうで、このパンダンは食べることができないそうです。

用途はデコレーションだと教えてくれました。

 

サバイバーのロケでも使われたという、ツタでできたハンモック。

乗っていいと言われたので写真を撮った後に乗っかったところ、

私の重さに耐えきれずツタが切れてしまいました。

スタッフは笑ってましたので、壊しても問題はないようでした。

しばらくビーチで過ごした後、ランチを食べるHUNONGAN COVEへ移動します。

ボートから見た、フノガンコーブ。

フノガンコーブは、ゴタビレッジと同経営のちょっと宿泊代が高めのリゾートです。

ギハロ港やゴタビレッジと陸地で繋がっているのですが、車が通れる道はないそうで、

ボートでの移動でゲストはリゾートへ入ります。

 

電線もないため、電気は発電機で起こします。

都会の喧騒から逃げ出して、文明を断ち切った時間を過ごすには最適だと思います。

カラモアン全体に言えることですが、携帯電話の電波も入りませんでした。

(港の近くは、スマート社の携帯は電波が入ります、私のものはグローブ社のものでしたので、

現地では一切電波は入りませんでした)

 

ランチは、ボートマンがゴタビレッジまで取りに帰ってくれます。

フノガンとゴタは、それほど離れていません。

以前コロン島でのアイランドホッピングの際には、ランチはボートに持ち込んでましたので、

出先で簡単な調理方法のものしか出ませんでしたが、

ここではキッチンで作りたての料理を運んでくれるということになります。

 

ボートマンがランチを取りに行っている間、ビーチで過ごしました。

 

 

 

 

海が近いということもあり、滞在中ランチとディナーには魚をリクエストしました。

この日のランチは、トゥリガン(フィリピンではツナとも言うのですが、カツオのような感じ)が出ました。

ちなみにディナーは、マヤマヤ(日本の鯛系)の親戚のような魚が出ました。

(ホテルスタッフも魚の名前はわからずにマヤマヤの親戚と言ってました)

鯛に似た味ですので、とても美味しかったです。

 

フィリピン人旅行者が、カラモアンに多数訪れる理由の一つに

美味しい魚が手ごろなお値段で食べられるということもあるようです。

フィリピン人旅行者は、最低でも3泊4日。多くの方は4泊以上されると聞きましたが、

取材の我々は、そんなに長くも滞在できませんので、

アイランドホッピングの後にゴタビレッジから陸路で行けると言うアンダーグラウンドリバーツアーが

スケジュールに入っていました。

 

パラワンの世界遺産のようなものを想像していましたが、

規模はかなり小さくボートではなく歩いて(泳いで)入っていくものでした。

奥行きも25mほどと聞きましたので、私は遠慮してフィリピン人スタッフだけ入りました。

 

 

鍾乳洞の下が川になっているような所です。

パラワンの地下河川公園が新世界の7不思議になったことで、名前だけ拝借したのかなと言う所でした。

フィリピン人の若者は、Tシャツ短パン姿で、鍾乳洞の中で楽しんでいました。

アンダーグラウンドリバーツアーの帰りには、また小雨が降ってきました。

雨季のこの時期は仕方ありません。翌日はマニラへ帰らないとなりませんので、

サバンへのボートが欠航になったりしますと大変なことになります。

天気予報を見て、なるべく早い便で渡った方がいいということになり、

予定を変更して翌日朝7時の第1便で戻ることにしました。

早朝チェックアウトとなりますので、夕方ゴタビレッジを散歩してみました。

 

 

部屋から1分ほど歩くとビーチです。

各国のサバイバーのロケ隊が、ここで記念写真を撮ったものが、オフィスに飾られていました。

マニラからでも、かなりの移動時間がかかりますが、

いつか天気の安定している乾季に家族を連れて、ここへ帰ってこれれば良いなと思いました。

 

最終日、曇天ではあったもののギハロ港からの第1便は予定通り出港し、

サバン港には午前9時ごろに着きました。

この日はナガ市内で、現地旅行会社の社長さんと会い、マニラへのフライトまでナガ市内観光の予定でした。

初日と同様、工事による片側交互通行の影響でピリを超えてナガまでは2時間くらいかかってしまいました。

待ち合わせ場所は、ナガで有名なCWCでした。ここCWCは、Camsur Watersports Complex の略です。

南カマリネス州前知事であるヴィリャフエルテさんの肝いりで

世界的なウェイクボードの大会も開かれる施設が出来、海外からも観光客が訪れるようになりました。

 

余談ですが今年行われた選挙で前知事の父と息子が激突し、

息子が勝ちフィリピンの歴史上最も若い知事(24歳)が誕生しました。

現知事から見れば、祖父と戦った選挙であった訳です。

 

現地旅行会社の社長さんの案内で、CWCを見学しました。

今年6月号で紹介しましたラグーナにあるヌバリのウェイクボード場とマネージメントが一緒だそうです。

ヌバリより広い感じでした。

 

水上スポーツを楽しむだけでなく、レストランバーでは夜間DJも出て

若者たちがたくさん集まるそうです。

こちらは、トライアスロンの水泳用の水路。現在、整備中とのことでした。

宿泊施設は、上記のカバナと、下記のコンテナタイプ等があります。

 

CWCの後は、市内から車で郊外へ30分ほど、パニクアソン・ホット・スプリングへ連れて行ってくれました。

ナガ郊外に位置するイサログ山は、標高2000m級の潜在的な活火山、

山から湧き出る温泉を利用したローカルリゾートでした。

 

温泉とは言うものの温度はそれほど熱くはなく、温水プールのような感じでした。

フィリピン人旅行者ですと、ナガ郊外のここで1泊した後にカラモアンへ行くパターンも多いそうです。

 

 

 

敷地はかなり広く、頂上の方にはダムもあるそうです。

昼食は、ゲストへのパッケージツアーの場合に利用するレストランをリクエストしましたら、

ナガ市内に戻って「ボブ・マーリン」へ連れて行ってくれました。

 

マーリンは、魚のカジキのことです。オーナーの息子さんが、レゲエの神様ボブ・マーリーが好きだそうで、

この名前にしたのだそうです。

魚料理に限らず、肉料理もメニューにあります。

値段が手ごろで美味しいので、ゲストにも喜ばれると聞きました。

 

私は、さっぱりした魚系がよかったのですが、フィリピン人スタッフががっちりしたものを欲しがったので、

フィリピン人に一番人気のクリスピーパタも出てきました。

 

 

奥が、クリスピーパタ。手前は、珍しい牛肉のディヌグアン(肉を血で煮た料理)

主に私が食べた、イカのシズリング

レストランに飾ってあった、ペニャ・フランシア(ナガのお祭り)のポスター。

我々が出掛けたのは、ちょうどお祭りが終わったすぐ後でした。

 

お祭りの日程に重ならず、雨期の時期でしたので、手ごろな料金で取材旅行ができた訳です。

ランチを済ませた後は、地元の名物「ピリナッツ」の製造直売のお店へ連れて行ってくれました。

 

フィリピン人は、甘いコーティングがしてあるハニーナッツや、

にんにくチップが入っているガーリックナッツが好きですが、

私はナチュナルな味に近いローストを土産に買いました。

 

ここのお店はかなり有名のようで、店内には前アロヨ大統領に表彰を受けた際の写真等が飾られていました。

私が日本人と言う事がわかると、「うちの商品は銀座のソニービルでも売られています」と話してくれました。

地元のパッケージとは違って、日本では「LA2PU」のブランドで売られているそうです、

ちなみに中身はフィリピンで売られているものと同じということです。

 

ピリの殻は、かなり固く、割るのは大変な作業だそうです。

お土産を購入した後は、マニラへのフライトまでの少しの時間を利用して、

教会を中心にナガの市内を周ってきました。

 

お祭りの名前にもなっている、ペニャ・フランシア・シュライン

 

お祭りの際に、ペニャ・フランシアの像は、ここからボートに乗って、

ナガ川をパレードして教会へ戻るのだそうです。

市内観光の間、車中等で現地の旅行会社の社長さんに話を聞いたところ、

今でも多くのフィリピン人旅行者は、カラモアンを訪れているそうです。

 

外国人に人気のボラカイやパラワンのエルニドへは、航空券が非常に割高ということ。

セブへのチケット代は、プロモで安い時もありますが、マクタンのリゾートホテルは、

それなりに割高ということ。

これらに比べて、ナガへのフライトはいつも手ごろな料金ですし、

カラモアンにはフィリピンの一般の方でも気軽に泊まれる安い宿も多いのだそうです。

参考までに我々が泊ったゴタ・リゾートは中級クラスなのだそうですが、海沿いにありました。

安い宿は内陸にあって、皆さん海まで移動して過ごされるのだそうです。

逆に高級リゾートは、「トゥガウェ・コーブ」と言うのがあるそうです。

 

こちらへの宿泊者には、サバンでもナトでもない専用の港からの送迎があり待ち時間などないようですが、

移動費だけで1万円くらいかかるそうです。

今回、雨期の旅で天候にはあまり恵まれませんでしたが、

乾季に来たらとても素敵なところなのだろうなという感じはわかりました。

ただ秘境ということで、マニラからでも移動時間がかなりかかることも事実です。

セブやボラカイには行き飽きたと言った、フィリピンベテラン旅行者の方にお勧めしたいところです。