聖週間の休み中にフィリピン国鉄の普通列車でマリンドゥケ島に行ってきました。

列車はエアコンはありませんでしたが夜の風が窓から吹き込んでいたのでさほど暑くは感じません。

ただ怖いほど揺れました。列車でケソン州のルセナまで行って、

そこからフェリーでマリンドゥケ島のバラナカン港まで約2時間半です。

マリンドゥケ島の中心の町ボアックでは親切なフィリピン人のお陰で

「モリオネス」という仮面のお祭りを楽しむことができました。

ルセナ駅ホーム

 

聖週間の連休は木曜日から始まるので、水曜日の夜から地方に向かうバスの駅はどこも大混雑です。

国鉄はこの日、帰省客のためにビコール行きの普通列車を特別に出したのです。

乗ったのはその列車でした。夕方の7時頃マカティのパサイロード駅から乗りました。

 

始発駅のトゥトゥバン駅ですでに満員状態でしたからもちろん座れません。

やっと連結部分のトイレ近くにスペースを見つけました。

すぐ隣でおばあさんと孫2人が窮屈そうに身をかがめて弁当を食べています。

若い人たちは携帯電話で音楽を聞いたりテキストしたりと、それぞれに時間をつぶしてました。

100円ショップで買った折りたたみチェアーが役に立ちました。

 

ルセナ駅の手前で列車は急停車、みんなざわついています。

何かと思ったら線路を走っていたトロッコをはねたようです。

でも幸い人は直前に飛びのいたのでけが人はいなかったようです。

臨時列車なのできっと列車が通ることを知らなかったのでしょうか。

 

チェアーに座り同じ格好で3時間、足腰が痛くなる頃、列車はケソン州のルセナ駅に着きました。

時間は夜の10時を過ぎていました。ルセナ駅はホームがあるしっかりとした駅です。

ルセナ駅舎

 

そこからトライシクルに乗って港まで約20分。

港にはクバオやパサイからのバスが次々と到着し、そのたびに港は人であふれかえっていました。

チケット買うにも長い列です。40分ほど並んだ末、なんとか買うことができました。

次に港湾使用料というのをまた別の列に並んで買います。フェリーに乗ったのは午後11時半過ぎ。

フェリーは中も外も通路にまで人がいっぱいで定員のゆうに倍は乗っているようでした。

 

海は穏やかで船はまったく揺れません。

船は日本の中古船で懐かしい日本のビールの自動販売機がそのままに。

列車旅の疲れから床に座ったままウトウトしてしまいました。

 

午前2時過ぎ、マカティを出てから約7時間後、やっとマリンドゥケ島のバラナカン港に着岸。

バラナカン港から今度はジプニーです。

州都のボアック町まで真っ暗な道を海に沿って30分、思ったより遠くにボアック町はありました。

 

さてこれからホテル探しです。

ボアック町は田舎なので街灯もなく真っ暗です。

トライシクルに乗って3軒回りましたがどこも満室です。

当然ですが予約していない私が無茶です。聖週間はモリオネス祭りで観光客もたくさん来てるはずです。

3軒目のホテルに着いたのが午前4時。

疲れてしまっていたので、そのままホテルの前にあった椅子を3個並べ、その上で朝まで寝ました。

午前6時ころ、誰かに肩を叩かれて目を覚ますとトライシクルのドライバーの顔が目の前にありました。

「どうせホテルはないだろうからうちに来ないか」。
「どうもありがとう」。

 

世話になったトライシクルドライバーと親戚の人たち

 

私が泊めてもらったトライシクルドライバーの家うちです(右の家)

 

さっきと同じトライシクルで、町から少し高台のイグレシア・ニ・クリストの教会近くにある

彼の家に行きました。

コンクリートブロックがむき出しの家で、窓ガラスの代わりにブロックに数カ所穴が開けられています。

 

家の中に入りました。

「このベッド使っていいから」と彼が言ってくれました。

まだ朝早かったのでそのベッドには娘が2人寝ていました。

彼は娘のお尻を叩いて「はやくあっちに行け」。

私は娘2人が寝ていたベッドに服着たまま転がりました。

 

ベッドに掛けてあるシーツの下はベニヤ板でした。

天井には板の代わりに段ボール箱が貼り付けてあります。

セメントの床を見ると5歳くらいの孫が蚊帳の中に転がっていました。

あの娘らはどこに行ったんだろか、そんなこと考えているうちに寝入ってしまいました。

 

結局、この親切なドライバーの家で翌日も世話になりました。

帰りは飛行機でしたがその朝、彼の奥さんが「ギナタン・スソ」という川の

タニシのスープを食べさせてくれました。

タニシをココナツミルクとショウガ、塩、シーリで煮ただけの味付けでしたが、

癖がなく、なかなかの珍味でした。

 

今回、親切なフィリピン人のお陰で

はじめてのマリンドゥケ島で楽しい2日間を過ごすことができました。

ひとつしかないベッドに寝かせてもらったこの感謝の気持ち、私はずっと忘れないでしょう。

彼は子どもが8人で孫が3人、家族を食わせるために今日もトライシクルに乗っています。

国鉄トゥトゥバン駅の引き込み線

 

国鉄トゥトゥバン駅の駅舎内

 

国鉄駅の客車.

 

 

国鉄本部前にある初代の機関車ダグーパン号

 

普通列車内はこのように座る場所もありません

 

彼女はビコールまで里帰りだそうです

 

子どものモリオンです

 

モリオンの仮面

 

教会から出てくるモリオン.

 

観光省ブース

 

朝日